最新医療

慢性心房細動に対する血栓塞栓源の発生予防

経皮的左心耳閉鎖術(Percutaneous Left Atrium Appendage (LAA) closure)

心原性脳塞栓症の塞栓源として、もっとも頻度が高いのが心房細動による左心耳内血栓です。心原性脳塞栓症の予防に推奨される一般的な治療はワーファリンによる抗凝固療法ですが、ワーファリンは服薬管理が難しく、出血性合併症のリスクもあります。その代用としてダビガトランなどの新規抗凝固薬がありますが、もう一つの選択肢として左心耳を閉鎖することで塞栓症を予防する方法が開発されています。心房細動の患者様は、心臓の中でも特に左心房内の左心耳と呼ばれる部位に発生しやすいことが知られています。そこで、抗凝固薬が何らかの理由で飲みにくい患者様に、この「左心耳を閉塞しよう」、という治療方法が考案されました。

左心耳閉塞デバイス

現在、数社がこのデバイスの開発を進め、ヨーロッパやアジアの一部の国で使用できるようになりました。米国は承認申請中で、日本は臨床治験が計画されています。イメージは足の静脈からカテーテルを挿入し、心房中隔を穿刺して左心房に到達し、自己拡張型の傘状の器具を留置する手技となります。


効果を証明したPROTECT-AF試験

弁膜症性心房細動と1つ以上の卒中リスク(卒中・TIA既往、うっ血性心不全、糖尿病、高血圧症、75歳以上))を持つ登録者707名に対し、WATCHMAN(ボストン・サイエンティフィック社製)を用いたランダム化試験(ワーファリン治療 vs デバイス治療)の長期間フォローアップにおいて、総死亡率を含めるいくつかの有効性エンドポイントで、従来の抗凝固薬群に対する非劣勢が証明されました。心血管原因死を60%、全原因死亡を34%減少、出血性卒中は85%減少させました。

今後の展望

心房細動の患者さんの中にも、様々な事情で抗凝固療法を継続できない方や、抗凝固薬を内服しても血栓塞栓症を発症してしまう方がいます。日本で一日も早く使用できることを期待しています。